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「最近の若いモンは…」
なんていい始めたら、老化の始まりだ。それはわかっていても、長髪・ベルボトム世代の私には、今どきの「ナウなヤング」は男も女もみなきれいな顔立ちで、少女漫画から飛び出してきたみたいに見えてしまう。
昔は、たとえティーンエイジャーでも、オジサンやオバサンぽい老け顔の子が珍しくなかった。同級生の渡辺くんなんか高校生なのに、しょっちゅう「お子さんは?」と聞かれていた。その都度、苦笑いして返答につまっていた彼も、今ではやっと顔相応の年になっている。
もっと小さい子供にしたって、掘ったばかりのジャガイモみたいな子は全く見かけなくなった。そのまま子供タレントに起用できそうな子ばかりだから、昔とは顔のできが格段にちがう。
人の顔というのは、時代とともに大きく変わる。しかもわりと短期間で変わってしまうようだ。この流れで行くと、日本人はみなかっこよくなれるのだろうか。
この前見た人類学の本には、未来の日本人の顔が載っていた。これは過去と現代の骨を比較することで、未来の顔の特徴を予測したものらしい。
そこには、頭が大きくて、あごが小さくとがり、逆三角形の顔になった未来人が描かれていた。その顔は今の若い人の顔に似ている気がする。この特徴がもっと進むと、ETみたいな宇宙人ぽい顔に近づいていきそうだ。
そういえば、歯科医の増田先生に頼みこんで、クリニックで保管されている大量の歯型を見せてもらったことがある。するとやっぱり、若い世代はあごが小さかった。
ではなぜ、あごが小さくなったのだろうか。一般的には、硬いものを食べなくなったせいだといわれている。本当にそれだけだろうか。
たしかに近ごろは、昔のクジラ肉みたいに、噛んでも噛んでも噛み切れなくて、あごがだる~くなるようなモノは食べなくなった。使わない機能は退化するから、人間のあごだって退化して小さくなるのは当然だ。もしかしたら、そのうち歯さえ生えなくなるのかもしれない。
だがここで私は、未来人の顔に、ぜひとも「アシンメトリー現象」の特徴を付け加えたい。
実は歯型を調べているとき、若い人は、左側の上下の歯茎が、舌の側に倒れ込んでいるのを発見した。程度の差はあっても、これは明らかに、「アシンメトリー現象」によって左の顔面が収縮した結果なのだ。
そうすると未来人は、限りなくあごが細くて逆三角形で、歯は退化して、左目は小さく、鼻は左に曲がり、左の口角が上がった顔になりそうだ。
歯科医の増田先生に調査の結果を説明しながら、私は「こんな感じになるんですかね~」といって、未来人の顔まねをして見せた。すると先生はプッと吹き出して、「豆絞りの手ぬぐいが似合いそうですね」といった。
それだッ。ひょっとこだ。私は以前から、未来人の顔を想像していると、「何かに似てるヨナ~」と思っていたのだ。先生のいう通り、未来人の頭に豆絞りの手ぬぐいを巻けば、まちがいなくひょっとこができ上がる。
「アシンメトリー現象」のことを考えると、どうしても人類の未来は暗くて深刻なものになりがちだった。ところがそこで、ひょっとこの顔をイメージした途端、「ま、それもアリか」と思えてきて、ちょっと肩の力が抜けるのだった。(つづく)
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