次回のメールマガジンの題材はマーティン・ガードナーの『自然界における左と右』を参考にしている。
これは以前、武蔵野美術大学で心理学の教授だった立花義遼先生からいただいた本である。
先生は私の研究内容を理解した上で、「私はもう使わないから」といって幾冊かの蔵書を託してくださった。
これらはシンメトリを扱う本を読めば引用の最初に出てくる2冊である。
つまりシンメトリを研究する人間なら、必ず押さえておくべき本なのだ。
そんな本をチョイスしてわざわざ持参してくださった先生には心から感謝している。
立花先生は私が30年ぶりに大学に顔を出したときにも「おお、君か!」といって再会を喜んでくださった。
一般教養で心理学を受講しただけの一学生の私のことを、ずっと気にかけてくださっていたそうだ。
退官されて10年過ぎた今でもご自宅には学生が泊まりに行っていると聞くから、いかに学生に慕われているかがわかる。
先生は演劇界でも顔が広いことでも知られている。
どれだけ多くの若者が先生の後押しのおかげで世に出たことだろう。
この本を眺めていると、私も先生から応援していただいていることを思い出して、少しうれしくなるのである。(花山水清)