小説『ザ・民間療法』花山水清

人体の「アシンメトリ現象」を発見し、モルフォセラピー(R)を考案した美術家<花山水清>が、自身の体験をもとに業界のタブーに挑む! 美術家Mは人体の特殊な現象を発見!その意味を知って震撼した彼がとった行動とは・・・。人類史に残る新発見の軌跡とともに、世界の民間療法と医療の実像に迫る! 1話3分読み切り。クスッと笑えていつの間にか業界通になる!

タグ:西岸良平

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 私は西岸良平さんのマンガが好きだ。

彼のマンガには、パラレルワールドをテーマにした作品がよく登場する。

パラレルワールドとは、ある時点で分岐し、並行して存在する別の世界のことである。

人生でいえば、今の自分の人生とは全く違った人生が並行して展開していることになる。

西岸作品では、別の道を歩んだパラレルワールドの自分の姿を見て、今の人生がいかに幸せであるかに気づく設定になっている。

そこには現在の自分の人生に対するあきらめとも満足ともとれるふしぎな風景がある。

 
 私もふとした瞬間に過去を振り返ることがある。

あのとき思い切ってああしていればどうなっただろう、と夢想する。

そこにはもう一人の自分がいて、全く違う人生を歩んでいる。

そうやって、人は幾度も過去の自分を修正しようと試みる。

しかし修正した先の人生をだれも知ることはない。


 実はパラレルワールドには絶対的な決まりがある。

人生の岐路に立ったとき、どちらの道を選択するか。

二者択一なら、どちらか一方の自分しか生き残ることはできないのだ。

パラレルワールドは実在するが、その世界のどこにも自分は存在しない。

他の道を選択した自分は、みなとうに死んでしまっている。

今の自分がここにこうして生きているのは、過去の人生において全て正しい選択をした結果なのである。(花山水清)

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私が大好きな西岸良平のマンガに、『三丁目の夕日』という作品がある。

実写での映画にもなったので、ご存じの方も多いだろう。

この作品の時代設定は昭和30年代だ。

コマの隅々まで、私が子供のころに見て育った風景だから、見ていて飽きない。


流行に疎い私は、マンガだけでなく音楽からファッションまで、昭和仕様のままである。

昔は良かったなどというつもりもないが、科学以外のこととなると新しさには関心が薄いのだ。

そして今、なじむ間もなく平成という時代も終わろうとしている。


歴史区分では、現代に近い時代のことを近代という。

今までの日本では、明治から太平洋戦争集結までを近代としていた。

ところが平成が終わると、ずっと現代だと思ってきた戦後まで近代となり、昭和はまるごと遠い過去に押しやられてしまう。

『三丁目の夕日』どころか、平成よりも前のことなど、だれも懐かしがらない時代がくるのだ。


そういえば子供の時分、まだ町内には慶応生まれの人が生きていた。

「え! あの薬屋のばあさん、江戸時代の生まれなの!?」などと話していた記憶があるから、100近い年齢だったのだろう。

幕末の動乱、明治維新、大正デモクラシーに世界恐慌、2度の大戦の時代を生き通したとなると、驚異的な人生だ。

子供にしてみれば、化石のようなものすごい年寄りにしか思えなかったが、昔話の一つでも聞いておけばよかった。(花山水清)

改元の騒ぎを耳にすると、ふとそんなことを思い出すのである。


■元号メモ

・慶応 1865年~1868年  4年間
・明治 1868年~1912年 45年間
・大正 1912年~1926年 15年間
・昭和 1926年~1989年 64年間
・平成 1989年~2019年 31年間

( Wikipedia http://tinyurl.com/y8tkewn3 )

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